ブルゴーニュの女神が作るワイン、ルロワとは?
ブルゴーニュ地方では、様々な高級ワインが生産されていますが、その中でも異彩を放つのがルロワです。 かの有名なロマネコンティを生産する、DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)の共同経営者としても活躍した、現オーナーのラルー・ビーズ・ルロワ氏(マダム・ルロワ)が率いるルロワは、世界中のワイン好きから愛されています。 本記事では、ルロワの歴史や特徴、そして、どのようなワインを生産しているのかについてご紹介します。
この記事で解決すること
- ブルゴーニュ地方で作られるワイン、ルロワは世界中のワイン好きから愛されています。
- 作られるワインは2種類あり、
- 自社の畑のブドウから生産されるドメーヌ・ルロワは高値で取引されております。
ルロワの歴史
1. 創業と初期の歴史
ルロワは 1862 年にフランソワ・ルロワにより、創業され、当時は、ネゴシアン(ブドウやワインを買い付け、自社のブランドで販売する業態)としてスタートしました。 地元のワインを買い付け、熟成させ、販売していました。
3 代目のアンリ・ルロワによって、コニャック地方のブランデーをドイツに輸出する事業を開始し、莫大な富を築きました。
2. DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)の共同経営者
1929 年、ルロワ家は、世界で最も有名なワイン、ロマネコンティを作る、DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)の 50%の株を取得し、共同経営者となりました。 アンリ・ルロワは、ワイン品質の向上だけでなく、当時、赤字続きだった DRC の経営を立て直し、黒字化に成功しました。
3. マダム・ルロワの活躍
1955 年には、現当主であり醸造の天才とも称される「マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ(マダム・ルロワ)」が父のアンリから会社を引き継ぎます。 当時、DRC の共同経営者として、ワイン業に携わっているルロワ家ではありましたが、ブランデーの輸出や DRC の経営としての成功であり、元々のネゴシアン(ブドウやワインを買い付け自社のブランドで販売する業態)で成功しているわけではありませんでした。s
そこから、ルロワをネゴシアンとしての名声を築き上げたのが、当時 24 歳の若きマダム・ルロワです。
圧倒的なテイスティング能力を持つマダム・ルロワは、ブルゴーニュ中の生産者を訪れ、最高品質のワインを厳選し、買い付け、ルロワのラベルをつけ販売することで、ルロワの名声を高めていきました。
4. ドメーヌ・ルロワの設立
マダム・ルロワの能力により、ネゴシアンとしての高い名声を得ることになりましたが、1980 年代になると、ブルゴーニュのワインは全体的に高値で取引されるようになり、生産者たちは、自社の畑から生産したワインを自社で瓶詰めし、販売するようになりました。 つまり、ネゴシアンであるルロワは、最高品質のブドウを買い付けることが難しくなってきたのです。 残された選択肢は、自社の畑(ドメーヌ)を持つことでした。
1988 年、売りに出ていたドメーヌ・シャルル・ノエラの購入を決意しました。 ただ、資金が足りず、姉のポーリーヌと共に、メゾン・ルロワの株式の 3 分の 1 を売却することにしました。
この株式を買い取ったのが、みなさんご存知の高島屋です。(なので、高島屋では、たまにルロワフェアが開催されることがあります)
こうして、ドメーヌ・ルロワが誕生しました。
5. ドメーヌ・ルロワの成功
マダム・ルロワは自然農法であるバイオダイナミクスを導入し、1988 年には、初ヴィンテージをリリース。 この初ヴィンテージ(ロマネ・サンヴィヴァン)が、ロバート・パーカーの 98 点を獲得。 この時の評価が DRC のワインを超えたことから、ドメーヌ・ルロワは一躍有名になり、DRC よりも高い価格で取引されるようになりました。
このあたりから、DRCと亀裂が生じ始め、マダム・ルロワは1992年にDRCの共同経営者を解任されますが、その話は長くなるため、またの機会に
ルロワの種類
メゾン・ルロワ
メゾン・ルロワは、ネゴシアン(ワインを買い付け、自社ブランドで販売する業態)としてのルロワの歴史を受け継ぐ、ワインのブランドです。 ブルゴーニュ全域から厳選したワインを購入し、熟成させ、販売しています。
ネゴシアンというと、ブドウから購入し、自社で醸造をすることもありますが、メゾン・ルロワは、発酵後のワインになった状態でテイスティングを行い、買い付けているという特徴があります。
現当主のマダム・ルロワはブルゴーニュでもトップクラスのテイスティング能力を持っており、そのずば抜けたテイスティング能力で状態の良いワインを厳選し、購入しています。 そこから、樽詰めを行い、ルロワ社のセラーで熟成させ、飲み頃になったタイミングでワインを販売します。
ワインの状態でマダム・ルロワが厳選しているため、メゾン・ルロワのワインは、常に高品質であることが特徴です。
メゾン・ルロワは人気なので、価格も高価なもの(良い畑のワイン)で 50 万を超えるものもありますが、安価なものだと 5000 円程度のものもあります。
ドメーヌ・ルロワ
ドメーヌ・ルロワは、自社の畑から生産されるワインのブランドです。
上にも書いた通り、ドメーヌ・ルロワは 1988 年には、初ヴィンテージをリリース。 この初ヴィンテージ(ロマネ・サンヴィヴァン)が、ロバート・パーカーの 98 点を獲得。
DRC を超える価格で取引されることも多く、なかなか手に入りにくいワインです。
プレミアがついているドメーヌ・ルロワは場合によっては、9000 万円を超えるものまで存在しています。
今、手に入るルロワのワイン
メゾン・ルロワ・ボジョレー
ボジョレーと聞くと、ボジョレーヌーヴォーを想像する方が多いかと思いますが、ヌーヴォーとはボジョレー地方で作られる新種(その年に収穫された葡萄をすぐに瓶詰めしたワイン)のことで、メゾン・ルロワのボジョレーは、ヌーヴォーとは異なり、一定の熟成を経たワインです。 品種はガメイという品種を使用しており、フルーティーで軽やかな味わいが特徴です。 ルロワのボジョレーは、苺キャンディーのような甘やかな香りに加え、バランスの取れた酸味と程よいタンニン(渋み)があり、ボジョレーには珍しい、複雑な味わいがあるという特徴があります。
金額もルロワの中では一番安価で、5000 円程度で購入できるので、手軽にルロワのワインを楽しむことができます。
メゾン・ルロワ・コトー・ブルギニオン
コトーブルギニオンというのは、ブルゴーニュ全体(北はシャブリ地区、南はボジョレー地区まで)を指す言葉で、ブルゴーニュ地方の様々な場所で取れるブドウを使用して作られるワインのことを指します。
メゾン・ルロワのコトー・ブルギニオン・ルージュは、ピノ・ノワールとガメイ種から構成されており、摘みたてのイチゴのようなガメイ種の特徴と奥ゆかしいピノ・ノワールの風味が楽しめるワインです。 価格も比較的安価で、7000 円程度で購入できるので、手軽にルロワのワインを楽しむことができますが、最新ビンテージだと少し熟成させたほうが良いかもしれません。
コトー・ブルギニオンは、赤だけでなく、白もあります。
白はシャルドネ種を使用しており、リンゴや柑橘系のフルーツの香りがありつつも、上質なミネラル感とバランスの取れた酸味が特徴です。 爽やかな酸味があるおかげで、料理との相性も良く、食事のお供にもおすすめです。