教養2024年7月19日

フランスボルドー地方の5大シャトーについて

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5 大シャトーとは、ボルドー地方、メドック地区のワイン格付けにおいて、1 級に格付けされた 5 つのシャトー(ワイナリー)のことです。 本記事では、ボルドー地方やその格付け、1 級として登録されている 5 つのワイナリーについてご紹介します。

ボルドー地方とは?

フランスの南西部に位置するボルドー地方は、ジロンド川・ドルドーニュ川・ガロンヌ川という 3 つの川の周りに広がるワイン生産地です。 フランスの北東部に位置するブルゴーニュと並び、フランスの二大銘醸地として知られています。

赤ワインも白ワインも生産されていますが、特に赤ワインが有名で、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなどの品種が生産され、それらをブレンドすることで、深みと複雑さのあるワインが生み出されます。

メドック格付けとは?

パリ万博に向けて、ナポレオン 3 世の命令で、ボルドー地方のメドック地域のワインを格付けすることになり、その結果、1 級から 5 級までの格付けが行われました。 当時は、試飲によって選出されたわけではなく、過去数十年にわたる、取引価格を元に決定されました。

ちなみに、メドック地区以外にも、グラーブ地区やソーテルヌ地区といった別のエリアでも格付けが行われています。

見直しや吸収等により、当時より少し変動はありますが、現在も 1 級から 5 級までの格付けが続いています。

格付けシャトー数
1 級5
2 級14
3 級14
4 級10
5 級18

5 大シャトーとは?

メドック格付けの 1 級に君臨する、5 つのシャトー(ワイナリー)は 5 大シャトーと呼ばれ、特に有名です。

シャトー・ラトゥール

5 大シャトーはどれも力強いワインを生産していますが、その中でも、シャトー・ラトゥールは、特に力強く、長期熟成によって、複雑な風味を楽しむことができます。 シャトー・ラトゥールが良いワインを作ることができる理由は大まかに 2 つあります。

一つは土壌、もう一つは質への探究心です。

土壌という面では、「ランクロ」と呼ばれるいう砂礫質土壌を所有しており、この土壌がカベルネ・ソーヴィニヨンを作るのに最適な環境を提供しています。

また、シャトー・ラトゥールは、ワイン造りにおいて、常に質の向上を目指しており、ブドウの粒ごと選果であったり、飲み頃になるまで元蔵で熟成させるなど、細部にまでこだわっています。

シャトー・マルゴー

上に述べたパリ万博において、メドック格付けが行われた際、シャトー・マルゴーは唯一満点の評価をつけたシャトーです。 しっかりとしたボディーがありつつも、華やかな香りと、繊細な味わいがあることから、ボルドーの女性的なワインと形容されることがあります。

最低でも 10 年、良い年のものは 30 年以上、熟成させることで真価を発揮します。

シャトー・オー・ブリオン

シャトー・オー・ブリオンは、ボルドー地方の中でも、最も古い歴史を持つシャトーの一つです。

1855 年に行われたメドック地区のワイン格付けで唯一、グラーヴ地区から選出されたシャトーです。 当時からあまりにも有名なワインだったため、別の地区であったにも関わらず、 1 級に格付けされました。

シャトー・ラフィット・ロートシルト

伝統的なワイン造りを大切にしているシャトー・ラフィット・ロートシルトは、ボルドー地方の中でも、最も有名なシャトーの一つです。

農作業はほぼ手作業、化学肥料の使用もほとんどなく、ラベルもここ 100 年ほどほぼ変わらず、これぞ、ザ・ボルドーといった風格を持っています。

シャトー・ムートン・ロートシルト

シャトー・ムートン・ロートシルトは、他の 4 大シャトーと比べると、歴史が浅いですが、その分、斬新な試みを行うことで有名です。

毎年、異なるアーティストにラベルデザインを依頼することで、ワインとアートを融合させています。 ミロやピカソといった、誰もが聞いたことがあるようなアーティストがデザインを手掛けていることもあり、コレクターからの人気も高いです。

1979 年には、日本人で初めて、堂本尚郎氏(1928-2013)がデザインを担当されました。 最近だと、2021 年に塩田千春氏の作品がラベルに採用されています。

どこか獣っぽい香りを持ち、力強さを持つワインは、熟成によって、繊細な味わいに変わっていきます。